今日、のりちゃんと、和服のママが経営する小料理屋へ行った。あらためて言うまでも無いが、いつものパターンである。

ママの店にはカラオケがなく、常にBGMが流れている。ママは、根っからのフォークソング好きだ。高校時代に、部活でフォークソングをやっていたらしい。もちろんボーカルだ。店へ入ると、今日は五輪真弓さんの曲が流れていた。なんと、ママも口ずさんでいるではないか。様になっているからいい。歳に似合わず、笑顔もかわいい。客もはやるわけだ。
僕たちは、あっけにとられながら、生のビールを注文。演歌ではなくて、こういう歌を聞きながら飲むビールも最高だ。五輪さんの曲では、僕は「合鍵」という歌が好きだった。どうも、ママは知らないようだ。「この曲は僕だけのもの」とつぶやくと、ママはポカンと口を空けていた。「ウッシッシー」と僕はほくそえんだ。

最初、気がつかなかったが、四畳半の部屋に、のりちゃんとビジネス上の付き合いがある客が来ていた。のりちゃんは、すかさず、客との話にのめりこんでいった。「僕をほっといてどうするんだ?」と言いたかったが、今日は、のりちゃんに花をもたせようということで、彼らの話にくわわらず、もっぱら、ママとフォークソングについて語った。

類は類を呼ぶのだろうか?。しばらくして顔見知りの一見客が登場。彼もフォークソング大好きの男。僕たちは三つ巴でフォークのあれこれについて過去の記憶を呼び覚ました。次から次へと、知っているフォークシンガー達の名前と歌を連呼した。

高石ともやさん、マイク真木さん、南こうせつさん、伊勢しょうぞうさん、イルカさん、ビリーバンバンさん、カルメンマキさん、はしだのりひこさん、井上揚水さん、谷村新二さん、青い三角定規さん、さだまさしさん、もちろん、森山良子さん、加藤登紀子さん、武田鉄也さん、他にも多々、名前と曲が挙がったが、なにしろ、浅学の僕のこと。名前の漢字が思い出せない。

何を思ったのか、ママがイルカさんの「なごり雪」をかけて、自ら歌いだした。何度も、何度もである。特にこの歌が好きだそうだ。さもありなん。なかなか上手い。「客の気持はどうなっているの?」と、言いたかったが、言えなかった。歌も気にならないのか、のりちゃんは、相変わらず客との話しに夢中だ。自分を立ててくれる客とは馬が合うのだろう。こういう日も珍しい。僕のお株が奪われたって感じだ。まあ、いいだろう。

フォーク談義も尽きた頃、顔見知りの客が帰った。僕ものりちゃんを置いて帰ることにした。とりあえず、割り勘で自らの分を支弁。そっと、帰ろうとしたが、のりちゃんが気付き、「すまなかった」という顔をしていたのが印象的だった。

家に帰り、パソコンのスイッチをいれ、いつものごとく、一通り巡回した。
ふと、さる人のポイムに目が留まった。世の中には変わった人もいるものだ。なんだか、ずしんと迫り来るものがあり、考えさせられた。とりあえず今日は、おっと、もう10日になっていた。寝ることにしよう。
   



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